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なるほど。自分の趣味とか話さなかった私が急にアイドルの話なんてしたからドルオタくんに誤解されたのか。的確な自己アピールね……自信を持ってアピール出来るものなんて何もないなって思ったら溜息が出てしまった。
「ごめん、なんか偉そうなこと言っちゃった。ねえご飯まだあるけど、お代わりは?」
「いえ、もう結構です。美味しかったです、ご馳走様でした」
相談出来ただけでも良かったし、そろそろ帰ろうかなと思ったけど、その前に聞いてみた。
「あの……これ私じゃなくて友達の話なんですけど……」
知り合いに元アイドルがいる友達の話として、昨日自分の身に起こったことを田中さんに話してみた。
「えー、それ本当の話? そのお友達の妄想じゃなくて?」
やっぱりそう思うよね。
「それで彼女、どうしたの?」
「どうもしてないみたいです。ただ自分のせいでその元アイドルの子がトラブルに巻き込まれないか心配してました」
「え? 元アイドルと知り合いってだけで襲われたのは彼女の方よね? なのに知り合いの元アイドルの心配?」
「まあそうなんですけど……彼女が受けた被害は訴えた所でもみ消されるだろうし、それ以上の被害が元アイドルの身に及ばないかって」
そう答えたら同僚は眉を顰めた。
「ふーん、随分お人好しなのね。でもお友達はもう深入りしない方がいいんじゃない? 芸能界って表は華やかだけど、裏では色々ありそうで怖いわね」
「そうですね……」
彼女のアドバイスはそれだけだった。話を聞いて貰っただけで少し救われたし、具体的な提案を期待したわけではないから充分だ。
でも日菜ちゃんのことが益々心配になった。
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