6.ここにいちゃダメですか

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なんて焦っている間に接骨院についた。 やっぱりぎっくり腰らしい。 「負荷が溜まってると、ちょっとしたきっかけでなるんですよ。最近重い物持ったりしました?」 「いや……」  「急に運動始めたとか」 「いや……あっ」 11年ぶりのセックス!? 「何か思い当たりました?」 「い、いえ、何にも思い当たりません」 違うよね?  30過ぎた女が慣れないセックスでぎっくり腰とか悲しすぎるもん。 施術を受けたら少し動けるようになったので、駅に戻ってタクシー拾おうとしたら、車を横付けされた。 「乗れよ」 今度こそ追っ手――じゃなくてまた後藤。 「迎えに来てくれたの?」 「ああ。歩くのしんどいだろ? 自分で乗れるか?」 「う、うん……」 当然という顔でドアを開かれて後部座席に乗り込むと、後藤はゆっくり車を発進させた。 運転上手いな。信号も交差点もスムーズに通過して、全然揺れない。 「どうもありがとう、助かった」 「いや、転んだの俺のせいかなって。挨拶も回り道も面倒だから適当な距離保って歩いてたんだけど、不審者につけられてると思った?」
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