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うん? 日菜ちゃんリュック背負ってる。なんでだろって思いつつ可愛い後ろ姿を見送って自力で車から降りようとしたら、後藤が先に降りて手を伸ばしてきた。
「だ、大丈夫、自分で――」
「今更遠慮するな」
そうだけど妻の目の前で手を握ってはいけない気がして、手首に掴まって外に出た。そしたら断る隙もなく自然に肩を抱かれてしまった。
やばい、やっぱり後藤いい匂いする。
日菜ちゃんもいい匂いするけど、それとは違う。柔軟剤とか香水じゃなさそう。
「ありがとう、手すりあるからもう平気」
玄関について後藤と離れてホッとしていると、日菜ちゃんが私の足元に屈んだ。
「靴、脱げますか?」
「え、うん、ぬ、脱げるよ」
頑張って自分で脱いだけど、日菜ちゃんに揃えて貰っちゃった。
あー情けない、若夫婦に介護される老婆じゃんって思ってたら日菜ちゃんに言われた。
「ぎっくり腰って痛みが酷い間は動かない方がいいんですよね。その間、私がお世話しますね」
「えっ、そんな悪いよ」
「私は全然構いませんけど、迷惑ですか? そのつもりでお泊まりグッズ持って来ました」
くるっと回ってリュックを見せられた。その中にはお泊まりグッズが入ってたのか。
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