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「いくつ位の時?」
「私が6年生で弟が3年生でした」
「えー、大変だったでしょう?」
「うーん、大変っていうより必死でしたね。この子を守れるのは私だけだって。それまで結構生意気だったのに、すっかり甘えん坊になっちゃって可愛かったですよ」
だから彼の為に高校中退してまでアイドルに?
「でも中学に入ってからは何かしてあげようとすると、いいから自分のことやれよって言われるようになっちゃって」
へー。日菜ちゃんの弟くん、会ってみたいな。きっとカッコイイんだろうな。
「でも私、勉強もスポーツも苦手だし、他に特技があるわけでもないし、自分がどうなりたいとか何したいとかわからなくて……友達とそんな話をしながら歩いていたら、事務所の人に声を掛けられたんです。だったらアイドルになってみないかって」
「えっ、それでアイドルになったの?」
「調度発掘オーディションをやってたみたいで、是非参加して欲しいって連れて行かれて、わけわからないまま色々やらされて合格しちゃいました」
そうなんだ。健気な決心をして自分から事務所の門を叩いたわけじゃないのか。
「でも高校に通いながら芸能活動は無理だから卒業するまで待って貰えないかって事務所と話し合ったんですけど、少しでも早い方がいい、10代の1年は貴重だって母も説得されちゃって――」
「えっ、弟さんの学費を稼ぐ為って聞いたけど、違うの?」
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