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隣の家には同級生の男が住んでいる。
と言っても私がここに引っ越して来たのは小5の時だから、幼馴染みってわけじゃない。
引っ越してきたばかりの頃、学校から帰る途中で目が会ったので、新参者の私の方から声をかけた。
「あ、隣の――」
「話し掛けるな。離れて歩け」
あー今思い出しても腹立つ。
あーやっぱり私可愛くないんだなって痛烈に悟ったよね……。
それ以来、無用な争いを避けて生きてきた。駅に行くにもそいつの家の前は避けて回り道して。
だから隣に住んでるのにずっと姿も見ていない。
結婚したって聞いたのは……何年前だっけ?
お相手には一度も会ったことないけど、気が強い女性なのかな。それとも大人しい女性がキレたのかな。
バカ、バカって、何がどういう風にバカなのか私にはさっぱり想像出来ない。痴話喧嘩なんてしたことないもん。
ざまあみろって気持ち半分、羨ましいって気持ち半分。
どうせすぐ仲直りするんでしょ。バカのトーンが弱くなって甘くなって、最後には好きになるんでしょ。
あーバカらし。
食事に戻って、片付けて、明日の準備。
えーっと明日は燃えないゴミの日か。袋は……これか。よし、大丈夫。
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