6.ここにいちゃダメですか

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「あのー」「あのー」 同時に話しかけてしまった。 「波美さん、どうぞ」 「あ、や……あ、明日後藤くん何時に来ると思う?」 「そうですね……早めって言ってたし、7時とか?」 「じゃあもう少し早い時間に目覚まし掛けようかな」 うっ、目覚まし時計に手伸ばすのキツい。 「私やりますよ」 「ありがとう」 日菜ちゃんにやって貰っちゃった。あーこれで安心――じゃなくて、しなきゃならない話はそれじゃないって思ったけど、先に彼女の話を聞いた。 「で、日菜ちゃんは何を言いかけたの?」 「そんなに大したことじゃ……明日早いしもう――」 「いいよ、気になるし、言って」 「ほんとに大したことじゃ……波美さんって中学まで仁と一緒だったんですよね。彼、どんな感じだったのかなって」 ああ、なんだ後藤の話か。 「うーん、そうなんだけど同じクラスになったことないし、ほとんど話したことなくて……」 「部活はやってたんですかね?」 「さあ……」 「成績は良さそうですよね?」 「さあ……」 「彼女とか……」 「ごめん、ほんとに何も知らない」 一切噂も聞いたことない。人のこと言えないけど、後藤って本当に地味な奴だったな。 「本人には聞いてないの?」 「話してくれないんですよ。知らなくていいって」 「えっ、夫婦なのに?」 返事がない。 これって大したことないどころか深刻な話じゃ――
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