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「した!」
でも言われてみれば納得かも。
父は私とは趣味が合わなかった。娘の幸せが自分の幸せってタイプでもなかったし、本当の親子で出掛けてもあまり楽しくなかったに違いない。
「で、ウチの父親、彼に私の何を話したの?」
「書き初めで賞取ってきたとか自慢話が多かったみたいですよ」
「それだけ? 悪口とか変な話は?」
「あー……聞いていいのかなって思うような話もされたって言ってました」
「え、何の話?」
「それは話してくれませんでした」
日菜ちゃんが聞いてないのは良かったけど、後藤は一体、私の何を知ってるんだろう。
やだなー、恥ずかしい。
「でも中学までの話ですよ。高校生になる直前の春休みに合格祝いだって遠くまで連れて行って貰ったのが最後だったそうです」
高校の合格祝いとか、私貰ったっけ?
私より後藤の方がウチの父に愛されてたんじゃないの?
なんなの、娘より息子が欲しかったの?
あ……だけどコソコソ出掛けてたのって、それだったんだ。若い女と浮気してるのかと思ってた。
へー、ウチの父親と後藤がね……
それは驚いたけど、まあどうでもいい。
それより桜川陽の話だ。
「ところで日菜ちゃん……」
うーん、何処から何を話そう。
「あの……」
もう思い切って聞いてしまえ!
「桜川陽さんの話していいかな」
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