6.ここにいちゃダメですか

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「う、うん、なんとか……」 「仕事行くのか?」 「うん、行かないと」 「わかった」 って聞こえた後、日菜ちゃんが戻って来た。 「朝食持って来てくれましたよ。先に身支度します?」 「うん、顔洗おうかな」 身支度して食卓につくと、おにぎりと紙パックの野菜ジュースがあった。どんな姿勢でも飲食出来るように考えてくれたみたい。 「後藤くん、ほんと気が利くね」 「はい。準備出来たら車で送るって言ってますよ」 「ええ?」 そこまでしてくれるの!? いいのかしらって思うけど、ここは甘えてしまおうかな。本当は妻に良いところ見せたいだけかもしれないし。 というわけで、日菜ちゃんに見送られて素直に後藤の車に乗り込んだ。 「腰、少しは良くなった?」 「はい。お陰様で。色々お手数掛けて申し訳ないです」 「いや。会社何処?」 「ええ? いいよ、駅までで――」 「電車に乗って途中で動けなくなったらどうするんだよ。知り合いのいる所まで届ける」 「いやでも、後藤くん仕事は――」 「休み」 ああ、休みは土日じゃないって言ってね。 「でも休みの日って日菜ちゃんとお出かけするんじゃ――」 「しっかり送ってあげてって日菜に頼まれたから」 ああ、妻の為ね。そういうことならって会社の住所を教えてしまった。
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