77人が本棚に入れています
本棚に追加
「う、うん、なんとか……」
「仕事行くのか?」
「うん、行かないと」
「わかった」
って聞こえた後、日菜ちゃんが戻って来た。
「朝食持って来てくれましたよ。先に身支度します?」
「うん、顔洗おうかな」
身支度して食卓につくと、おにぎりと紙パックの野菜ジュースがあった。どんな姿勢でも飲食出来るように考えてくれたみたい。
「後藤くん、ほんと気が利くね」
「はい。準備出来たら車で送るって言ってますよ」
「ええ?」
そこまでしてくれるの!?
いいのかしらって思うけど、ここは甘えてしまおうかな。本当は妻に良いところ見せたいだけかもしれないし。
というわけで、日菜ちゃんに見送られて素直に後藤の車に乗り込んだ。
「腰、少しは良くなった?」
「はい。お陰様で。色々お手数掛けて申し訳ないです」
「いや。会社何処?」
「ええ? いいよ、駅までで――」
「電車に乗って途中で動けなくなったらどうするんだよ。知り合いのいる所まで届ける」
「いやでも、後藤くん仕事は――」
「休み」
ああ、休みは土日じゃないって言ってね。
「でも休みの日って日菜ちゃんとお出かけするんじゃ――」
「しっかり送ってあげてって日菜に頼まれたから」
ああ、妻の為ね。そういうことならって会社の住所を教えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!