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「着いたぞ」
えっ、もうって顔上げたら、本当に会社のビルの前だった。
「ここ駐車禁止だから、早く降りろ」
なんかちょっと怒ってる?
偉そうに余計なこと言いすぎたかな。
はいはい降りますよって腰を押さえて車から這い出したら、お礼を言う前に行っちゃった。
あー、なんか朝から重い話聞いちゃったなあ。
それにしても驚いた。可愛い子拾ってラッキーって調子に乗るタイプじゃないのはわかるけど、真面目っていうか頑固っていうか……
「一条さん、おはよう。どうしたの、老婆みたいな歩き方して」
うわ出た、朝からドルオタくん。
「ちょっと腰やっちゃって……悪いけど手貸して――」
「ごめん、やっぱり俺君とは付き合えないんだ。知り合いが20代の子紹介してくれるって。ほんとごめんね、期待させちゃって」
はー!?
「あれ? 一条さん振られた?」
おおー、田中さん! 助けてくれそうな人来た!
「違いますよ、それより肩貸して貰えます?」
「え、何、どうしたの?」
ぎっくり腰になった話とドルオタくんが20代の子紹介して貰うから私のことはどうでもよくなったらしいって話をしたら笑われた。
「へー、でも良かったじゃん。穏便に離れてくれて」
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