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今日は日曜日なのでアパートでゴロゴロしてようと思ったら宗方からメールと着信が来ていて思い出した。 なんか週末ご飯がどうたらこうたら…… そうか、そうだった。 でもこのまま寝てたい気分でもあるんだけどシカトしたらウザそうだな。 とりあえず宗方に電話を掛けるとワンコールで出た。 『はや……』 『今世那君に罵倒メール打ってた最中だったから』 『そうか、じゃあ電話越しで頼む。 一通り聞いたら俺寝るから』 『おい』 『冗談だって、マジで行くの?』 『私もう準備しちゃったんだけど?』 『そうか。 くそッ』 『くそッて聴こえたけど?』 『なんでもない、じゃあ俺も適当に準備するから』 『わかった、じゃあ前に会った川のところで待ってるからね』 しゃあないな、諦めて行くか。 よく考えみたら学校の奴と飯食いに行くなんて初めてだな。 着替えてバイクで例の川のところへ行くと宗方が待っていた。 ってあれ宗方だよな? なんつー派手な化粧に露出の多い服装…… 「やっときたぁー! 待ったよ世那君」 「お、おお……」 「ん? どうしたの?」 宗方は俺のキョトンとした態度に自分の身体を見回した。 「ああ、これのこと?」 短めのスカートを摘んで少し上げて見せた。 「何やってんだよ露出狂かよ?」 「あははッ、ドキッとした? エッチだなぁ」 「誰も見たいなんて言ってないだろ、なんだよその格好は?」 「可愛いでしょ? 私綺麗なだけじゃなくてスタイルもなかなか良いからモデルみたいでしょ? まぁこんな格好してれば学校で大人しい私がまさかこんなんなんて思われなさそうじゃん? 遠くから見たらわからないと思うし」 自画自賛かよ。 てかまぁ学校の時とは明らかに違うな、化粧もそうだしレースとミニスカの軽装でスラッとした宗方の綺麗なボディラインが際立っている。  「どお? そこらの子よりは可愛い自信はあるけど」 「そだな」 「え? じゃあ可愛い?」 「そだな」 「さっきから何それー?」 そこまで強調して言われると例えそうであっても俺は言葉にしたくなくなるんだよ。 「それに比べて世那君は地味〜」 「いやそんなの知らんし」 「でも似合ってるよ」 「それって悪口?」 「あはッ、どうだろねぇ〜?」 なんかムカつく。 「つーかこれからどうするんだ?」 「学校からずーっと行ったところにちょっと大きめのスーパーあるからそこ行こう? 世那君がバイク持ってて良かったよ〜、融通効くし」 「そのバイクがあわやお前のせいでなくなるところだったんだけどな」 「ちゃんと見つけてあげたんだから文句言わないの!」 見つかんなかったらお前を今頃は大層恨んでただろうよ。 「ほらこれ」 「ん? 何これ?」 「見ればわかるだろ、メットだよ」 「なんで私に渡すの?」 「被んなきゃ何かあった時死ぬぞ?」 「ええー? 髪型崩れちゃうじゃん」 「んじゃ乗せられないな」 「わかったよぉ〜」 宗方は渋々とメットを被った。  「やっぱり融通効かなかったわバイク」 「ころころ変わる奴だな、じゃあ乗れよ」 「はぁーい……」 「ん? 自転車と違うんだからしっかり掴まれよ、振り落としても知らないからな」 「…… こう?」 俺の腰に腕を巻いたけど緩い…… 「だからもっとしっかり手を回せよ? そんな服装で振り落とされたら悲惨なことになるぞ」 「そう言うなら……」 今度はギュッと俺の腰に宗方の腕が巻かれた、まぁ大丈夫か。 「じゃあ行くぞ」 「うん!」 走り出すと宗方は腕をギュッと締め俺に密着した、背中から宗方の感触が伝わる、ああそうか。 女の子なんだもんな。 女らしい柔らかな感触が体にくっ付くなんて今までは想像もしていなかった。 「ねえ! バイクって気持ちいいね! 走ってるだけなのに楽しい」 「いいから手離すなよ!?」 「離さなぁーいッ!」 バイクで30分ほど走ったところスーパーが見えてきた。 大きめというだけあって結構広い、映画館などもあるみたいだ。 俺は飯を食って帰るだけの簡単な用事だと思っていたんだが…… 「じゃあせっかく来たんだし少し遊ぼっか」 「は?」
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