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「新庄君少しいい?」 「はあ?」 斉藤と宗方が一悶着あった日の昼休み、斉藤の友達に何故か教室から離れたところへ呼び出される。 なんだ? 察するにもしかしてもう斉藤と話すのやめて欲しいってか?  何にしてもこういうのってウザいよな、いちいち呼び出しておいて勿体つけやがって。 お前らの友達ごっこになんで俺まで巻き込むんだよ? 今俺の前を歩いている女、山梨 環奈(やまなし かんな)はさっき斉藤を庇って宗方に噛み付いた奴だ。 大方こいつが俺を呼び出すことを提案したんだろうな。 別にいい、斉藤と話すなと言われたらそうしてやるよ。 そう思い付いて行くと斉藤ともう1人、あいつと仲が良い藤岡 舞(ふじおか まい)が待っていた。 こりゃ集中砲火だなと心の中で溜め息を吐いた。 早く終わらせてくれよ? まだ昼飯も食ってないんだし。 斉藤はなんだか気不味いのか俺が来るとペコッと頭を下げた、そして山梨が口を開く。 「ごめんね呼び出したりして」 「それで? 俺に何か用?」 「…… ねぇー、沙優奈これの」 「わぁあああッ! 環奈何言ってんの!?」 凄い勢いで遮った、お前がなんだよ斉藤。 「…… とにかく沙優奈落ち込んでるのさっきの宗方のせいで」 「それがなんだよ?」 なんで俺にわざわざそんなことを? これ以上どうしろってんだ? 「そ、そうだよ、それがなんなの!?」 「いやあんたがどっちなのよ?」 意味わからん。 こんなアホなやり取りのために呼ばれたのか? 「なんか大丈夫なようだし俺もう行くからな?」 「ちょちょッ! 待ちなよ新庄君」 「あ?」 「まったくもう、環奈も沙優奈も何やってんだよ。 つーか新庄君って宗方と仲良いの?」 見兼ねたような藤岡が喋り出した。 仲良い? そう見えちまってんのか!? 「んなわけないだろ、なんで宗方と仲良いんだよ?」 「いつだったか新庄君ボコられて休んでたっしょ? そん時宗方と一緒だったそうじゃん。 もしかしてそれって宗方が主導してやったとか?」 「いやそれは宗方はたまたま居合わせただけで…… てかそれ誰から聞いたんだよ?」 「木戸から」 やっぱあいつか…… 口の軽そうな奴だとは思っていたけど。 「そっか、じゃあ別にそこまでじゃないんだ? 良かったね沙優奈」 「え? あ、うん。 ぁあああッ!!」 「うわッ、なんつーリアクション」 今日の斉藤少し情緒不安定だな。 こいつらの言う通りまだ宗方に言われたこと引きずってんのか? 「つーかまだ何かあんのか?」 「うーん……」 「環奈、新庄君お昼もまだなんだし……」 山梨が考え出した。 もう何もないんだろう? 斉藤も俺を居させたくないようだしと思ってこの場を去ろうとしたら…… 「そーだ、私ら用事思い出したんだわ、ね? 舞」 「ん? お! そうそう、てことで今日は沙優奈とお昼出来ないなぁ〜」 「え? え!? 何それ?」 「沙優奈ひとりでお昼食べさせるなんて可哀想なことさせられないから新庄君今日は沙優奈と一緒にお昼してくれない?」 「はぁ?」 「か、環奈!! それはッ」 ふざけんなよ、俺の都合も聞かないでなんで事を勝手に進めるんだよ? ちゃちゃっと食べて寝たいのに。 「おい」 「あー! こうしている間にも時間がッ!! 行こう舞!」 「ラジャー」 この場から逃げるように2人は行ってしまって斉藤と俺が残された。 「こ、困ったね、ごめんねあの2人急にとんでもないこと言い出して」 「まったくだ、俺ひとりで食べる方が楽で良いんだけどなぁ」 「………… だ、だよね? ごめんなさい」 「なんでお前が謝るんだ? どっちかっていうと悪いのは押し付けたあの2人だろ?」 「ええと…… それはその…………」 んだよ、こいつやっぱまだ宗方との気にしてんのか? 面倒だからこのまま放置して行ってしまって…… あーでもそうするとまた山梨に呼び出されそうだなぁ。 「つうかさ、昼飯どうすんだよ? さっさと食べないか?」 「…… ッ!! いいの!?」 「?? いやだって一緒に食べてやれって言われたろ」 「あ、えーとあのッ! た、たた食べりゅッ! 食べる!!」 「大丈夫か?」 「か、噛んじゃった」 今度は慌てふためき出した、本当に大丈夫かこいつ?
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