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来てしまったものは仕方ないので宗方は空気として扱うことにしてバイクを走らせた。 「あははッ、やっぱ楽しい〜!」 うるさい空気だな、こうして走ってる間もお金を消費してるのはこっちなんだぞ? ケチくさいとは思っているけど。 「ねえねえ!」 「なんだよ?」 「ぱッ!」 「は!?」 宗方が巻いていた腕がいきなり離されたので俺は焦ってブレーキを踏むと反動で宗方の体が俺の背中にぶつかった。 「お、お前……」 「ビックリした?」 「ふざけんなよ、俺に捕まって欲しいのか?」 「違う違う、世那君が心ここに在らずだから思い出させてあげただけだよ」 「にしたってやり方が過激なんだよお前は……」 こいつがバカなことをしたので俺は一旦バイクを路肩に寄せた。 「えー? 休憩?」 「お前の行動が悪い」 「つまんないのー。 ってうわッ! 日に焼けてる」 当たり前だ、化粧は薄いが相変わらず露出が多い服装。 陽に直接当たっていた宗方の腕と脚がほんのりと赤くなっていた。 ほんと何も考えてないで思い付きで呼び出したんだな。 「まぁいっか、どうせ赤くなるだけでそんなに焼けないし」 胸元を指で摘んでパタパタと服で扇いでいるが下着見えてんの気付いてるか? 「何かな?」 「別に」 「ウソだぁ〜、なんか私の胸元に視線が向いてたよ?」 こいつワザとか? 「ふん」 まぁ見たのものは見たので俺は宗方に背を向けた。 俺だって男だし何も反応がないわけじゃないけど宗方に弱みを握られそうで嫌だしな。 「あれ、見てもいいんだよ? ほら、乗せてって貰ったちょっとしたお礼みたいなもんだから」 「お前のことだからどうせ見たからああしろとか言ってきそうだからやめとくわ」 「ふふッ、私のことよくわかってんじゃん? ねえ、話は変わるけど休みの日何してた?」 「何って。 何かしてるように見えるか?」 「てかこっち向きなよ? もう変なことしてないから」 そう言ったので向き直ると再び宗方が口を開く。 「じゃあさっきの質問、休みの日何してた?」 「何も」 「ふぅん。 じゃあ誰かと遊んだりとかは?」 なんだこいつ? 顔は笑ってるように見えるのにそう感じない。  「誰かと遊んだりとかは?」 「くどいな、俺に遊ぶような奴なんて居ない。 お前こそ何してたんだよ?」 「私のこと気になる?」 「いやそんなに」 「私はねぇー……」 宗方はペラペラと喋り出した、なんだかんだで何してるか聞いて欲しかったのか。 「てな感じ!」 「お前もやっぱ誰とも遊んでないじゃんか」 「え?」 「話聞く限り家の中をああしたとか料理がどうとかネットとかひとりで過ごしてたんだな」 「…… そんなの当たり前じゃん。 なんでバカな奴らと集まってバカ騒ぎとかしたいの?」 集まるっていうかそもそもそれ以前にお前友達居ないだろ。 というか友達集まればバカ騒ぎするって限定なのか? 俺もよく知らんけど。 「でもさ〜」 「うん?」 「そういう私達ってなんだろね? こうして意味なくバカみたいにバイクで走って」 バカみたいにしてるのはお前で俺は別に…… ってこいつは何が言いたいんだ? 「それに世那君は私のこと多少は知ってるわけで他の人は私のことを世那君よりもわかってない」 「だからなんだってんだ?」 宗方は笑って言った。 「これってさ、もう友達みたいなもんじゃないの?」 は? だってお前は友達なんていらないって言ってたよな、それにバカにもしてたし。 そんな奴が友達みたいだって? 「言いたいことはわかるよ? 私が何言ってんだって。 そうだよねぇ、私もそんな風に思うなんてなぁって思ってるけどさ。 郷に入っては郷に従え、このままじゃいけないって思ったからこそなんだろうねぇ」 「その割には他人事みたいに言うよな? つーか友達作るなら俺にするのは間違いだ、もっと相応しい奴にしろよ」 「例えば斉藤さんとか?」 「は?」 なんでそこで斉藤の名が出てくるんだよ? まぁそれでもいいか。 「そうだな」 「無理」 俺の言葉に被せ気味に言った。 「私あの子嫌い」 「全員嫌いなんだろ?」 「その中でも特に嫌い」 「なんであいつを目の敵にするんだよ? 別にそんな性格悪くないぞ」 お前よりはな。 「そんなのわかんない。 それにそんな数友なんて増やしたってしょうがないし私のことはあとは誰にも話したくない。 消極法で行くと悲しいことに世那君なわけ」 「消極方で友達選ぶのかよ」 「グチグチ言わないで受け入れたら? それとも友達の言うこと聞けないの?」 「いやもうなってるのか?」 「そだねぇー」 ろくな友達にならなそうだ。
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