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「おはよう」 「…………」 「え? 新庄君」 「…………」 「あ、あの……」 斉藤話し掛けていたのか、考え事してて全然聞いてなかった。  「悪い、聞いてなかった」 「おはよう……」 「それだけか?」 「え? う、うん」 はぁー、扇風機とストーブ貰ったしなぁ、その分の恩は返しといた方がいいのか? うーん…… まぁ何にしても先輩に狙われてるぞ的なことは言っておいてやるか。 でも俺が連れて来いってなってんだろ? 言ったら来なくなるんじゃ。 と思っていると宗方近くに来た。 「今日の新庄君……」 「あ、おい宗方」 「「え? え?」」 何故か重なる宗方と斉藤の言葉、そしてハモッたことで更に重なる。 「何?」 「わ、私!?」 「いやだから何よ?」 「違くて宗方、ちょっと」 「私忙しいの」 相も変わらずクラスだと冷たい口調で一蹴され宗方は教室から出て行った。 嘘つけ、忙しいはずないだろ! 「ちッ、くそ」 「新庄君?」 「あ、なんだ?」 「宗方さんに何か用事あるの?」 「なんでそんなこと聞くんだ?」 「いやだって…… 」 「はあ、なんだよ?」 言葉に詰まっている斉藤と昨日のことでカリカリしていた俺はつい厳しめな口調になっていた。 「えっと…… 宗方さんに用事があるなら私が伝えとこうか?」 「斉藤が?」 こいつに今日のこと言えるわけがないな。 「お前には関係ないから」 「うぐッ……」 「!!?」 そう言った瞬間斉藤の目には涙が溜まっていた。  は? なんだよこいついきなり泣きそうになってやがる…… ヤバいな、なんか知らんがこれはこれで面倒がひとつ増えそうだ。 「なんでそんな顔するんだよ?」 周りにこの斉藤の異変が気付かれないかヒヤヒヤだ、特に山梨や藤岡。 あいつらは特に面倒そうだ。 「ご、ごめんなさい、私新庄君にとって余計なこと聞いちゃったかな?」 「いやいや、つーか泣かれると余計迷惑だ」 あ…… つい本音が出てしまった。 「ふぐッ…… ひぐッ…… ごめん」 異変に少しずつ気付いてきた周り。  「泣かせた」 「いつかやると思った」 「最低」 「根暗のくせに」 来たこれ…… それと山梨と藤岡からの刺すような視線、今にもこちら側に来そうなので俺はその前に教室から出て行った。 ちくしょう、そもそも宗方が嘘ついて出て行かなければこうはならなかったんだ多分。 なんか忠告するのもバカらしく思えてきた。 あー、HRの時間までまだあるけど今の教室には戻りたくねぇな。 仕方ない、音沙汰なくなるまでどっかでサボるか。 こんな時は屋上! と思ったがここの高校だとガラの悪い奴がたむろってそうだし図書室にでも行って寝てるか。 図書室の扉を開けると誰も居なくて安心した。 ここでしばらく寝てればいいか、そう思いテーブルに突っ伏して目を閉じていたけど眠れない。 そして2時限目が終わりそろそろいいだろうと教室に戻ってみると宗方以外から一斉に視線を注がれる。 「うわ、どのツラ下げて帰ってきたんだ?」 「逃げたくせに」 「だから友達居ないんだよ」 クソが!! お前らそうやってネタを探して集中砲火して面白がってるだけだろ? 「ち、違うよ、私が勘違いして泣いただけで新庄君は何もしてないの」 斉藤がフォローするが時既に遅し。 まぁいいよ別にもう疲れるし。 これ以上はサボりたくないので席に戻った。 「新庄君ごめん、私のせいで……」 「何も斉藤のせいなわけじゃない」 お昼頃には陰口も大分落ち着いていた。 というか次から次に厄介事……
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