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「新庄君心配したよ! なんで……」 「沙優奈マジであんたのこと心配してたのよ?」 「ほんとほんと、沙優奈のこと泣かしたのにねぇー」 怪我が治って登校した初日に運悪く昇降口で斉藤達に出会ってしまった。 いつもは朝ここで会わないのにこんな時に限って会うとは。 「沙優奈ったらねぇ、心配し過ぎてあんたが今日こそ来るんじゃないかってここで待ってたのよー?」 「付き合わされる身にもなって欲しいよねぇ」 「ひとりでいいって言ったじゃん! てか何言ってんの!?」 なんだこの茶番…… 療養中は平和に過ごせたってのに。 先輩と喧嘩した時に携帯もぶっ壊れてしまったので宗方も連絡しようがなかったしな。 「ねえ新庄君、痛いところとかある? 無理してない?」 「あったら来てねぇよ」 「ここまで心配してるのに相変わらずこの塩対応よ」 「聞いたよー? なんか先輩達と喧嘩したって、ただの根暗だと思ってたのに」 「失礼でしょ環奈! 新庄君、それって前に新庄君に絡んできたあの先輩?」 「まぁそんなとこだ、だから俺のこと気に食わなかったんだろ」 根掘り葉掘り聞かれるのウザいなまったく、とっとと教室行こう。 「お! ザマァwwwじゃなかった、新庄おかえり」 「うるさい」 教室に入ると木戸がおちょくってきた。 やっぱザマァと思ってたか、いいけどさ。 「いやー、お前って意外と喧嘩っ早いんだな、先輩とやり合うなんてな」 「そうか、だったら俺に構うなよ、お前の顔マジでムカつく」 「こえーーッ!」 なんてウザさだ、結果的にネタになるようなことになったなこれ。 頼むから静かにしててくれよ。 宗方なんて俺に目もくれないのにな。 まぁ俺は停学にならなくて良かった、なったら支援してくれてる団体に申し訳たたない。 「木戸君なんなの? 新庄君が怪我したっていうのに」 「うん?」 ボソッと斉藤が小さく呟き俺の方を向いた。  「私は寂しかったよ、後ろの席向いても新庄君居ないんだもん」 「お、おう……」 お前が心配してたのはよくわかったから…… てなことを思ったが山梨や藤岡みたいな茶化す奴が居ないからなのかなんなんだこれ? 少し居心地の悪さが緩和したような。  「うん?」 「いや何も」 授業が始まりボーッと斉藤の背中を見ていてチラリと窓側を見た。 空が映る窓に宗方のシルエット、なんか何もなかったみたいないつもの学校だなと授業が終わったので今日は部活にも寄らずにまっすぐ帰ろうと駐輪場へ向かった。   うん、バカ共は居ないなと思いバイクに跨るとバイクの後ろ側に衝撃が走った。 「宗方!?」 「シカト?」 バイクの後ろタイヤ蹴ったのか? てかすげぇ怒ってる?? 「電話もシカト?」 ああ、そうだった。 「いや、先輩と喧嘩した時携帯壊れちゃって」 「そもそもなんでそうなったわけ? 部活行った直後だよね? 様子がちょっとおかしいなとは思ったけど」 「多分前のことで俺に復讐の矛先が向いたんじゃないか?」 「そう…… そうなんだ」 なんか下向きなせいで表情が読み取れなくて怖いぞこいつ。 「宗方?」 「いや、そうならそうと言いなさいよまったく」 ケロッと宗方は言った。  「携帯壊れたし」 「あーん、そうでした。 でもまぁもともと連絡先なんて大してないでしょ世那君には。 私以外とまともに最近連絡した?」 「言われてみればないな。 つーか失礼だなお前」 「でしょー? ただ友達の私と連絡取れないのはちょっと不安だよね」 「いいや特に」 「不安だよね?」 そんな圧力のある笑顔でそう聞かれると違う意味で不安になってくるわ。 「不安とかは別にいいけどないと何かあった時困ることはあるかも。 あ、でもここら公衆電話結構あるからそんなこともないか?」 「お金持ってなかったら困るでしょうが。 それと緊急の時近くになかったら?」 「買わせようとしてないか? けど残念だな、俺はそんな無駄金を使いたくないんで」 「ふーん、じゃあただで手に入るってならいいってことね?」 「? そりゃあな」 「じゃあ家宝は寝て待て的な感じで少し待ってれば手に入るかもねー?」 「なんだそりゃ?」 それから2週間くらい経った頃だったか。 昼休みに宗方に人目のつかないところで呼ばれると…… 「はいこれ携帯」 「は?」 ポンと簡単に渡されたけどどうやって…… こいつが買ったのか? 「これ私が使ってるのと色違い。 前世那君が使ってた機種と全然違うけど私が知ってるから問題なしだよね?」 「いやいろいろと問題ありだろ、どうしたんだよこれ?」 「ふふふッ、どうしてでしょうねぇ?」 怪しい携帯じゃないだろうな……? と心配を他所に宗方のもと使えるように設定してくれ前のように使えたんだけどこれの代金どうしたんだ?
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