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あれから数日、授業が終わり部活に来ていた、来ていたのだが誰もいねぇ…… この部活大丈夫か? と思っても俺も来たり来なかったり、別にいいやと思いながら描いてた途中の絵を椅子の前に運んだ。 何を描いてるかといえばこの美術室の教室の風景、なんとなくだ。 でも何故かこの誰もいない静かな空間落ち着くな。 そんな良い心地で絵をチビチビと描いているとガラッと扉が開いて俺の視線もそちらに移った。 「え? 宗方?」 「そういう君は…… なんだっけ?」 「新庄だよ新庄世那、まだ覚えてなかったのか? まぁそんな印象なんだろうけどな」 「そうそう新庄君。 確かクラスに居たわね」 はぁ〜と溜め息を吐いて絵に視線を戻そうした時宗方から視線を感じた。 「何か?」 「いえ、君ってクラスではそんな感じに喋らないから不思議だなぁって」 「お前こそあんまり話さないよなクラスでは」 「そんなこと別にいいし。 というより美術部員だったの?」 「そうだけどお前も?」 「じゃなきゃ来てない」 常にツンとしてるからそんなツンとした態度で言われてもな。  「ふぅん……」 「今度はなんだよ?」 「誰も居ない教室描いてるんだね」 「それが?」 「こういう絵を描く人って凄く閉鎖的な人なんじゃないかなって思っただけ」 「お前に言われたくないけどな」 「そう」 宗方はキャンバスを取り俺から離れた席に座った。 俺にああ言ったあいつは何を描いているんだろうと少し気にはなったが自分の絵に集中した。 そして1時間ほど経ったろうか? 俺はそろそろ帰ろうと思って道具をしまって教室から出ていく時チラッと宗方を見ると難しそうな顔をしている。 大層立派な絵でも描いてるんだろうか?  「何?」 「あ、いや…… じゃあな」 「うん、バイバイ」 そして更に数日後の放課後のこと、今日は部活はスルーしてそのまま帰ろうとしたところ、駐輪場の近くには先輩達御用達の通路がある。 そこの通路で何しているのかというとタバコを吸っているのだ。 先生達も放置だもんな。 そして今日も今日でタバコ臭い臭いが漂ってきたと思いチラッと見るとそこには宗方の姿があった、なんであいつが? 「おい、何見てんだよ?」 しまった…… つい宗方が居たことで先輩方と目が合ってしまった。 こいつら喧嘩上等みたいな顔しててタチ悪そうだなぁ。 「すいません、ちょっとそこに居るのが俺と同じクラスの奴なんで」 宗方を指差してそう言うと先輩の1人が宗方の肩を掴んで俺の前に来た、しかもタバコを加えながら。 その時先生が通り掛かった。 よし! これは停学だろうと思っていると先生は見て見ぬ振りをして行ってしまった。 あれ…… ? 「なんだ、何か期待してたのか? 無駄無駄、あいつらにそんな度胸ねぇから」 「は、はぁ……」 「んで? こいつのクラスメイトの僕ちゃんが何か用か?」 先輩は吸っていたタバコの煙を宗方に吹きかけた、宗方は顔を曇らせて嫌がっているような気がする。 「え? あれ〜? もしかしてこいつの彼氏だったり?」 「いや、そんなんじゃないですけど。 先輩は宗方の彼氏なんですか?」 「俺? いーや違うな。 でもよ、こいつ根暗っぽいけど結構可愛いじゃん? それにこんな奴だから多少のことがあっても騒ぎになりにくそうじゃね? だから前に見掛けた時から狙ってたんよ」 そうか、つまりいいように出来そうだから無理矢理ってわけか。 よし、これ以上は深入りし過ぎたらこっちも危なそうだ、事情はわかったから帰るか。  「そうですか、じゃあ後は俺消えますから」 「物分かりいいじゃん、タバコ吸ってく?」 「遠慮しときます、では」 俺が帰ろうとするとグイッと肩を掴まれた。 やべぇ、今のやり取りで何か気に障ったか? と思って後ろを振り返ると宗方が俺の肩を掴んでいたのだった。 「なんだよ?」 「新庄君帰るの?」 「そうだよ」 「諦めろよ、そいつは利口だからお前とは関わり合いになりたくねぇとさ」 先輩の言う通りだ、明らかにこの先輩達って容赦なさそうだし俺って自分が傷付いても他人を守るほどの善人でもない、この前の転んだ小学生に絆創膏貼ってあげるくらいの小さな善行くらいならやってあげてもいいけどな。 「ごめんな宗方、俺帰るから離してくれないか?」 「そっかぁ〜」 諦めてくれた、やっと帰れると思って安心すると宗方が…… 「先輩、この人ちょうど良さそうなバイク乗ってるんですよ、ほら」 今度は宗方が俺のバイクを指差してそう言った。 なッ!? なんでこいつは余計なことを…… 「へぇ〜、僕ちゃん新庄君だっけ? 良かったらそのバイク貸してもらえる?」 ほらきたそうくると思ったこの流れ…… あのバイクは施設から借りているバイクだ、それを取られるのはバツが悪い、仕方ない。 「それは出来ません」 「あ?」 この後寄ってたかって先輩にボコられた。
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