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「あ、そうか…… 学校少し休むんだったな」 いつもの時間に目が覚めた、顔の傷が目立たなくなるまで行かないんだった、せっかく援助してもらってるのに休むなんてな。 仮にボコされた状態で行っても大して誰も気に留めないのかもしれないけど気持ちの問題だな、学校に行くぞー! 的なモチベでもないし。 だとしてもしばらく何してようか? この部屋にはテレビもないし暇を潰せるようなものは何も置いてない、スマホなら持っているけど。 外に出てこんな顔を晒すのも嫌だ、大人しく寝ていよう。 その日は1日中寝て過ごし2日目もゴロゴロとしていた。  暇だ、気晴らしに散歩でもしてみるかと思い立ち外へ出てみた。 わかってたけど何もないよなぁここら辺、小中まではちょっとした街はあったけどここは住宅地がほんの少しあって店などは歩いて行くには少し遠い。 バイク盗られたのはやっぱ痛かったな…… ん? あ、そうだ! バイクが乗り捨てられていないか探そう、あの先輩達がどこ行きそうとかはわからないが何もしないよりはマシだろ。 そしてバイクを探し始めた、どこかの橋の下とか如何にもゴミをポイ捨てしそうな場所とか。 だがそんな都合よく見つかるわけもなく…… いつの間にか暗くなっちまった。 あーそんな簡単に見つからないか、そもそも見つかるかどうかもわからないが今日は帰って明日にしようかと思った時背中に衝撃が走った。 「は?」 「そんなところで何してるの?」 「宗方……」 鞄で背中叩きやがったなこいつ。 怪我人だってこと忘れてないか? 「青葉」 「呼び方なんてどうでもいいだろ?」 「へぇ、いいのかなぁ?」 「あ?」 意味深にニヤリと笑うので何かと思えば…… 「これ…… 俺のバイク」 「そうだよ、見つけてあげたのは私だけど?」 「盗られたのもお前が原因なんだけど? それに汚ねぇ」 「そりゃ捨てられてたからね」 「そもそもなんでお前がバイク捨ててある場所なんて知ってるんだ?」 「あの手の輩が行きそうなところなんて見当がつくわ」 「はぁ〜、礼は言わないぞ?」 「はいはい、そう言われると思って汚れたまんまにしといたよ」 この野郎…… いちいちムカつくな! でも幸い壊れてはなさそうだし見つかったことだけは嬉しい。 「じゃあ見つかったことだし俺は帰るわ」 「見つけたのは私だけど?」 「どっちでもいいよ、バイクも無事だったことだしお前と居るとろくなことになんなそうだし」 この前のことで懲りたしな、また変なことに巻き込まれたらたまったもんじゃない。 今にして思えば俺がこいつのことを気になって見てたのは危険センサーか何かだったんだろうな。 「これまた随分嫌われたなぁ〜」 当たり前だろ、事前にこうなるってわかってたら変に関わり合いにならなかったのにな、ついてないわ。 「ねえ」 「しつこいな、学校に居る時みたいに出来ないのか?」 「んー、あっちの方が世那君の好みなのかな?」 「なんのこと?」 「だってもう大体私がこんな奴だってわかったでしょ? それなのに同じ態度したってバカみたいじゃん」 「確かにな」 「ね! それでさ〜、世那君携帯持ってる?」 「馴れ馴れしいなお前は。 そんなもん持ってるわけないだろ?」 「うそ!? 持ってないんだ?」 「俺そんなに裕福じゃないんだわ、わかるだろ?」 「私でも持ってるんだけどなぁ〜、本当かなぁ?」 疑ってる…… 流石に持ってないはありえなかったか? でも持ってるなんて言うと話が広げられて面倒そうだ。 「本当だ、お前とこんなところで無駄話なんかしてる時間もないから」 「時間もないからって彼女でも待たせてるわけ?」 「…………」 「あははッ! やっぱいないんだぁ」 「やっぱってなんだよ失礼だな」 「じゃあいるの?」 し、しつこい…… いや、もしかして俺って今女子が食い付きそうなこと言ってんのか? カレカノとかの話題とかってこいつでもそんなのに興味あるのか? 「つうかどうでもいいだろ? お前ならそう言うと思ってたんだけど」 「親がいない者同士のよしみだよ、女の子って性格悪いのも多いから忠告してあげてるんだよ」 「それって自分にブーメラン突き刺さってるのわかってるか?」 「え〜? なんだろそれ?」 とぼけやがって、もう19時半過ぎか。 こいつのせいで時間食ったな。 ………… しまった!  思った通り訝しげに俺のことを見ている。 エンジン掛けてさっさと退散するかと思いシートも汚いがバイクに跨った。 「ちょっと待ちなよ? 携帯持ってるんだね? 確かさっきはないって言ってたよね?」 「………… ああこれ携帯だったのか」 「うわ、見苦しい言い訳。 やっぱり持ってたんじゃん」 「そもそも持ってるからなんなんだよ?」 「だってせっかくバイク見つけたのに世那君の連絡先とかもわかんないし乗るわけにもいかないでしょー? 壊しそうだし」 「そこは真面目なんだな」 「あ! どこかで聞いたセリフだと思ったら私の真似〜ッ。 それで彼女居るのも勿論嘘なんだよね?」 「何が勿論だよ、ご想像にお任せするわ」 「え? おーい、ちょっと話はまだだよー!」 面倒なので話途中で俺はその場からバイクで逃げた。
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