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「お前マジで言ってんの? 捕まりたいの?」
「出来れば捕まらない方向でヤりたいな。 ここの地元の連中やる気ないからやりようによっちゃイケたりして?」
「いやいや道徳的なもんはないのかお前…… 大体こんなもん持っててももし奪い返されて逆に刺されでもしたらこっちがヤバイだろ」
と言っても宗方は刃先に人差し指を当てツンツンしている。
「あ、切っちゃった。 痛い」
「自分で刺して何やってんだよバカ」
仕方ないので宗方の指に絆創膏を巻いてやった。
「意外に優しい」
「お前に比べりゃな」
その時複数の足音が聴こえた。
「ありゃりゃ、来ちゃったかな?」
どっこいしょという感じに宗方は立ち上がるが俺はそんな宗方の口を手で塞いで引きずってうつ伏せに橋の影に隠れさせた。
「ん!? ん〜!!」
「静かにしろって! 無謀すぎんだろ」
宗方はジタバタの脚を動かすので俺の脚を上に乗せて静かにさせる。 そして足音が遠ざかっていった。
「う〜ッ!!」
俺が上に覆いかぶさっていたから宗方が苦しそうにしていたので離れると……
「はぁ…… 死ぬかと思った」
「お前が考えなしに突っ込もうとするからだろ」
「えへへ、ごめんごめん。 じゃあ気を取り直して行こうかな」
「は!? バカかよ!」
再度行こうとする宗方の肩を掴むと宗方は肩に乗せていた俺の手を触った。
「なんて冗談だよ、確かにあいつらウザいけどあんな奴らのために捕まりたくないしとりあえず交番に戻ってみよ? お巡りさんも帰って来てるかもしれないし」
「なんだよ驚かせやがって。 けどそれだとお前が立案した作戦意味なくないか? 俺と行ってもしょうがないし」
「あいつら血眼になって探してればどっかで鉢合わせるでしょ? その時にまたダッシュで逃げちゃえばいいし」
今度は行き当たりばったりかよ。 俺は宗方にナイフを返すと宗方は鞄にしまい橋の上に出た瞬間だった。 俺の首に物凄い力が加わり締め上げられた。
「こんなところにいやがったか」
「んぐッ!」
「世那君!?」
先輩の1人が近くにいやがった、俺は後ろからヘッドロックをされ身動きが取れなくなった、ていうか落ちそう……
「こっちにいたぞーーッ!」
ヤバッ、先輩が仲間を呼んじまった。
「離しなさいよこの不細工ッ!!」
「ふごッ!!」
宗方がそういった瞬間に俺を締め上げていた先輩が崩れ落ちた。 何したんだ? と思ったら先輩は股間を押さえて悶絶している、金的かましたのか。
「世那君今のうち!」
「無茶苦茶しやがって、でも助かった」
「いいからほら!」
あ、残り2人が凄い形相で走って来てる。 俺は宗方の腕を掴んで走り出した。
「ッ!!」
「お前こそ走れ!」
「あ、うん……」
全力疾走で交番の方へ向かう途中後ろから石が飛んできた。
「あいつら殺す気かよッ!?」
「あははッ! みたいだね」
「笑ってる場合か!」
「この野郎ッ!!」
って! 宗方のところに石が!!
「いってぇ〜ッ!!」
「ええ!? 世那君頭から血が出てるよ? ドジだなぁ」
「…… そのままお前に当ててりゃ良かった」
「嘘だって、王子様みたいだね世那君」
「はぁ? んな事より交番が見えた、今度はちゃんと居ろよ!」
そして交番に駆け込むと……
「な、なんだお前らは!? って君血が出てるぞ、大丈夫か?」
居た!! こんなオッサンなのに神様に見えてきた。
「助けて下さい! 私達変な先輩に付き纏われてて、この人なんかこんな怪我を。 今も追われてるんです!」
「なんだって!? ちょっとここで待ってなさい」
オッサンが交番の外へ出ると先輩達は引き返そうとする先輩達を追い掛けて行った。
「君達待ちなさいッ!!」
「ヤッベェ!!」
先輩達を追ってオッサンは行ってしまった。 果たして捕まえられるのだろうか?
「ふぅ〜ッ、たった1時間ちょいで汗でベチャベチャ」
「誰のせいだよ?」
「でもなんとかなったね!」
いやまだわかんねぇだろ?
「ねぇ、こっち来て」
「ああ? なんで?」
「いいから来て」
交番の椅子にちゃっかり座っている宗方に近付くと顔に手を添えられた。
「うーん、お医者さんじゃないからわかんないけど血止まってるね。 大した怪我じゃないよ多分」
「なんかお前と居ると怪我ばっかしてるんだけど?」
「うん」
宗方は近くにあった水道でハンカチを濡らして俺の頭の血を拭き取った。 その後先輩達は捕まったらしく学校側も流石に隠しておけず厳重注意のもと停学処分になった。
「一件落着だね」と宗方は言っているがこれで終わったのだろうか? と思ったがあの先輩達と顔をしばらく合わせなくていいと思うと少し気が楽だ。
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