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Another View—学園編—
——三日後。
幻真たちはある学校の門の前に立っていた。
万里が考えた作戦ではなかったら、幻真は完全にボイコットしていただろう。
桜も咲いていない途中編入の突然の学校生活にうんざりしている。
夏という季節を嫌にも肌に感じながら。
見た目が十歳児である時憂がどうしたかといえば、自身が調合したという薬を飲んで十六歳程度の見た目を維持することに成功している。
体型などは少年にしては小柄ながらも標準的な範囲内だった。
原理は時憂の頭の中にしかないらしいが、簡単な材料で作れると豪語していた。
演じる必要がある年齢は十五歳。
中身の年齢より二歳下だからバレる心配はないだろうとは万里の言。
深黒は時憂と高校に通えることをとても喜んでいた。
桜森兄弟には、通常じゃ為し得なかったシチュエーションにはしゃぎすぎているように映っている。
それも含めて深黒だよなと諦めてはいるのだが。
帝國学園は六年生の学校だ。
帝國学園の中・高等部校舎の右側には帝國大学もある。
今回幻真たちが潜伏するのは高等部だった。
反対側の左側にはさも当然のごとく見たこともないような大きく近代的な建物が存在している。
それが万里によると研究所らしかった。
万里が立てた作戦はこうだった。
まずは学園に潜り込み情報を集める。
敵のアキレス腱になるものを見つけられれば御の字。
幻真と深黒を隠すのにもうってつけだと万里は判断したようだ。
そんな万里は時憂とともに一年十四組に編入することになった。
幻真はというと深黒とともに一年十三組となる。
敢えて同学年での編入を画策したことが吉と出るか凶と出るか。
年齢をかなり誤魔化して入った万里たちを見てみるとしよう。
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