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昔馴染みと+αの事情
※性的表現があるので苦手な方はページを閉じることを推奨します。
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染めたての黒髪が気になったのは俺に対してもだったらしい。
「そういえば幻真君、髪染めた?」
「ああ、今さっき染めたて。深黒こそ、今は黒髪なのな」
「そう、あたしも。あーでも、あたし幻真君の金髪好きだったのにー」
「兄貴から聞いたろ?」
「まあ仕方ないよねー。あたしも行くからよろしくね。名残惜しいけど黒髪だからお揃いね」
「ふーん。で? どっちで通うわけ? ってか年齢的にアウトだろ、お前……」
ただ見た目が十年ぐらい前から変わってないように見えてある意味化け物だ。
童顔過ぎるのが原因だろうけど年齢不詳過ぎる。
性別すら危うい。
「それは! ……どっちだろ? うーん……男! おとこオトコ」
「そんな言わなくていいって。でも行けんのか男として。セーラー着てるし」
「いけるいける」
深黒が胸を張って答えるけど、胸も豊満だから隠せるのか心配なんだけど。
妙に深黒の性別が気になるのが不思議だ。
今まで性別なんか気にしたことなんてほとんどなかったのに。
「聞いていいか? 気を悪くさせたら謝る。……深黒の性別ってどっちなんだ? あ、いや体的な意味でってだけで、否定するつもりはないよ。ただそのことで政府に狙われることになったのかと思っててさ、俺」
「ふふ、気にしてくれてありがと。幻真君の質問なら嫌じゃないわよ。ベースは男。五歳の時に女性器が作られ始めて……つまり子宮ね。ちゃんと精通してるから子供は作れる。卵子はないから妊娠はできないんだけどね」
「答えてくれてありがとう。それとごめん」
「いいって」
深黒は重ねて気にしないでって言ってくれるけど、やっぱり突っ込んだ質問だったよなと自省する。
気まずい空気が流れそうになってきたと思った時、ガキが発言した。
「なぁ、深黒腹減った。時憂になんか食わせろ」
「はいはい。ごめんね。今何か作ってあげるから。幻真君と万里も食べる?」
「深黒ちゃんの手料理久しぶりだな」
兄貴が嬉しそうに応答する。
こっそりと俺にウィンクを送ってきた。
大丈夫だよって兄貴が言ってる。
ありがとう、兄貴。
「OK。何か作ってくるね。最近のラブホって普通の家みたいで面白いよね。そうだそうだ、万里も手伝ってね」
「は? それじゃ、俺の手料理じゃねーか」
文句を言いながらも深黒と一緒に兄貴は飯を作りに行った。
最近のラブホってキッチン完備のところもあるから(って、ここがそうなんだけど)、深黒も言ってたけどもう家みたいなもんだよなぁ。
それより、俺こいつと二人で居て大丈夫だろうか。
俺、こいつ殺さないだろうな。
「おい、お前。幻真だったか?」
幻真って!!
……いや、落ち着け俺。
うん、とりあえず魔法の言葉「まあいいや」。
こんなガキ相手にキレることもねーナ(棒読み)。
「ああ、幻真だよ。お前は?」
「計良時憂。お前、深黒に優しくしてるか?」
「ここしばらく会ってなかったけど、会ったときには嫌がることはしてねーよ。もしかしてさっきの質問のことか? それについては悪いことしたと思ってる」
「さっきの質問もそうだけど、そうじゃない。優しくしてくれてるならいいんだ。疑って悪かったな。深黒、政府に狙われてるだろ? それから自暴自棄になったんだ。深黒からは話さないだろうから、時憂も話さないけど。これは言える。深黒は男なのに男じゃない。だからといって女じゃない」
こいつまだ十歳ぐらいだろ。十歳児の話し方じゃないだろう!?
「十歳十歳って、人を見かけて判断するのは嫌いじゃないのか?」
「お前……! 心が読めるのか?」
「否定はしない。出会ったときに深黒の心が流れ込んできた、とても哀しくなった。……あと言っておくが、形は十歳児だが知能は十七歳並だ。時憂も研究所でいじられた。深黒のためにも幻真のためにも時憂は協力する」
「アリガトウな、時憂。でもお前はまだ十歳だ」
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