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Another View—深黒・学園編—
視点を変えて幻真と深黒たちを見てみよう。
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万里の案で帝國学園なんてお堅そうな名前の学校に通うことに決まってまだ三日。
なのに、もう学園に編入することになってるのって速くない?
仕事が恐ろしく出来るのか、前々から決まってたことなのかで評価は変わるよね〜。
万里のことだから幻真君に何かするとは思えないし、あたしに対しても害することをするとは思えないから心配はしてないけど。
用意された偽名が結構可愛くてバイブス上がる。
あたしは三原りうって名乗れば良いみたい。
幻真君は神無月満だって。
偽名使うのに兄弟設定生かすような同じ名字にするのって、万里の愛を感じるね。
これから幻真君が自己紹介を始めるところ。
隣でスタンバるあたし。
「初めまして。神無月満です」
幻真君ほとんど棒読みジャン。
抑揚も何もなくて機械音声でももう少し感情見えるよ。
「神無月君、他にも何かないかしら? どう?」
「あ、そうですね。誕生日は三月十九日、趣味は音楽鑑賞です。好きなジャンルはありますが、音楽は何でも聴きます」
やめろよ、この女教師!
って思ってたけど、幻真君よく頑張ったよーー。
「三原君どうぞ」
「三原りうです。クリスマスイブ生まれの何でも好きな多趣味な浮気性です」
くすくすと笑いが聞こえた。
計算通りね。
「はい、ありがとう。みんな二人と仲良くしてあげてね。えーと、神無月君は一番後ろの席、古崎さんの横ね」
「ここだよ」
「神無月です。よろしく、古崎さん」
「こちらこそ。早くクラスに溶け込めるといいね」
うわっ地雷発言! って、思ったんだけど。
平然とした顔で笑顔をまで振りまいている。
幻真君ったら、何か飲んできたのね。
いろいろ麻痺してるんだろうなぁ。
「えっと、三原君は二列目の矢口君の前ね」
目が合ったときに笑いかけてきた男の子の方へと歩いて行く。
「細いなぁお前」
(第一声がそれ?!)
「どうも。これでも鍛えてんだけどね」
「ふーん。三原とは仲良くなれそうな気がする」
(思い上がりすぎだよ。直感なんて十二年前から信じてない。根拠のないことは言っちゃいけないんだよー)
「本当に、仲良くなれそう。あっ、俺、矢口サトル」
「そっか。ありがとう、矢口君」
「サトルでいいよ」
サトル、か。
昔の自分を少し思い出した。
世界が何色もしていない頃のことを。
「じゃあ、そろそろ授業始めるわよ」
女教師が古き良き時代の黒板にサラサラと書いていく。
見たことのない文字だ。
あ、そっか。
あたし学校って初めてなんだ。
こんなことするところなのね。
……ふーん、簡単ジャン。
目新しさがなくなっちゃって、つまんなくなってきたぁ。
幻真君はどうしてるかな?
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