Another View—時憂・幻真の夢—

1/1
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ

Another View—時憂・幻真の夢—

※過激描写・性的描写・同性愛表現があるので苦手な方はページを閉じることを推奨します。  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  やだ、やなんだよ!!  もう、好きでもない奴に触られるの。 (これは学園? あいつらは時憂に……)  気持ち悪い、口の中に挿れてくるなよ。  俺が悪いのか?  俺がこいつらに媚びたら楽しめるのか、この状況を?  気味がワリーよ。  痛いしよ。  気持ちよくねぇーし、今の俺には何の快楽も得られないことなのに。 (情緒不安定にもなる。時憂もだった)  不感症とでもいうのか?  何も出来ない俺。  無力で弱者でやってらんねーよ!!!!! (痛っ!! 幻真の悲痛な叫びが心臓に刺さった感じがした。あれ? 場面が変わった。この幻真は時憂と同じ年齢ぐらいじゃ、) 父さん痛いよ、止めてよ。  僕が何をしたって言うの?  僕悪いことしてないよ?  あっ、母さん! 助けてよ。  父さんが僕をいじめるんだ! (これは幻真が五歳の頃のことなのか)  母さん? 何するの?!  僕こんなことしたくないよ。  したくない!!  したくない!!!  あっ。 『時憂か』 (幻真、時憂がいるのを知ってたのか?) 『まぁな。親にあんなこと毎晩されてたわけ。母親は俺を身代わりにしたんだろうなって今ならわかるな。人間不信の種をしっかりと蒔かれてしまった。ヤられてる時はいつも夢の世界に居た』 (その夢の世界で?) 『多分、この頃の俺は、辺り一面緑が広がっている平原の世界に居た。何百匹っていう羊が居て、柵を跳び越えるゲームをしていたと思う。(みんな)が次々と跳び越えるのに、俺だけ跳び越えられないの。よく見たら足首を手首しかない生物に掴まられてるの。そこでジャーンとピアノが鳴り響いて、辺り一面が血に染まる。空さえも。手首は一気に繁殖して俺に襲いかかるんだ。口を無理矢理こじ開けて体内に入って暴れる奴がいたり、首を絞めかかる奴がいたり、いろんな奴がいたよ。そんなことよりそこで一番嫌だったのは、死んでも死んでも死にきれねーの。何度血を吐いても、手首から大量に血が流れてても死なねーの、その世界の俺は』 (やりきれない夢だな) 『まったくその通りだ。だから時憂。俺の年になった時に幸せでいられるようにしてやるからな』 (何でそこまでしてくれようとするんだ? 幻真は時憂のことは嫌っていると考えていた) 『単純にそう思ったからさ。時憂、兄弟いるだろう? 兄か姉か』 (何で知ってるんだ?! ……兄がいたよ) 『時憂のしぐさを見てたらそんな気がしていた。少し、俺に似てるし』 (え! どこが似てる?) 『無茶なところが。深黒な、時憂と居るときが一番いい表情してるんだ。なんか楽しそうなんだ』 (でも、時憂はまだ深黒と関係してないよ) 『ははっ。そんなのないよ。それに深黒が恋人に身体のことを話したのって時憂が初めてだと思う。それだけ、大事にしたいってことだと思うよ。はははっ、俺、こんなに人と話したのって久しぶりだなぁ。時憂って凄い奴だな』 (何が?) 『精神安定剤みたい』
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!