空の向こう

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翌日 良く晴れた日だった。 僕はディスクの上の電話に頭を下げていた。 明日提出かと思っていた書類は、昨日提出だったらしい。 先方に謝りの電話を掛け、怒られ、頭を下げる。 ...自分の仕事じゃないのに... その日、僕は珍しくお昼休みに屋上へ行った。 窓から見た通り、晴れていて太陽が痛いくらいに光っていた。 転倒防止柵に寄りかかり、鳴り止まない仕事用の携帯を眺めていた。 自由がない。仕事をやめられない。家に帰って寝たい。 会社に入社した時からそうだった。 役に立ちたくて同僚や上司の仕事を代わったり、 得意先に粗相があったら自分のミスでなくとも謝ったり... 気が付けば周りは僕を僕として見てくれていなかった。 仕事を代わってくれる後輩になっていた。 「もうやめたいな......」 そう呟いたとき、突風が僕の体を押した。 目を開けるとそこは、綺麗な空が一面に広がったいた。 浮遊感。 窓からでは見れない綺麗な空が広がっていた。 それに掴まりたくて、僕は腕を伸ばした。 伸ばして、伸ばして...伸ばした ...けど、届かなかった。
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