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今は春、4月の下旬。
私は部活が終わり帰路につくときだった。
光が一瞬見え、ふと空を見上げるとそこには、奇妙な光を称えた雲が一面に広がっていた。
自転車に股がり、漕ぎ出せば「早く帰れ」とでも言っているような強風が私の背中を襲った。
私の下校時に通る道は車通りがそれなりに多く、いつでも車のランプが見え、車が横切る特有の音を奏でる。のだが、今日は違った。
車のランプはいつものとおり見えるのだが、音だけは妙に静かだった。
時たま見える空の光に怯えながらも自転車を漕いだ。
気がつけば、家と学校の中間地点であるショッピングモールまで来ていた。
ここまでであった散歩をしている人や、自転車を漕いでいる人、いずれも静かでまるでロボットみたいだった。
ショッピングモール前の信号を待っていると、いつもなら聞こえてくるはずの、宣伝音が聞こえなかった。
そして、漕ぎ出した私の自転車も妙に静かであることに気づいた。いつもなら、ペダルを押すたびに音が出るのだが、それも静かだった。
静かな世界を漕ぎ続けること30分。
自宅に着くことができた。
誰もいない家の鍵を開け、今自室で"これ"を書いているわけだ。
き
を
つ
け
ろ
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