ガッコウ

2/2
前へ
/10ページ
次へ
目を覚ませば友人がいなかった。 今まで共に逃げてきた10数人の友人は気づけば三人になっていた。 ひっしに逃げて、逃げて、逃げて、逃げた。 迫り来る怪物は鍵のかかった校舎の中を追いかけてくる。 気がつけば消えて、気がつけば現れる。 そんな怪物は、僕たちの友人を食べ、殺した。 振り向くな、前を見て走れ。 そして、僕は独りになった。 校舎唯一のガラス張りの教室に着くと、そこには僕と黒い影だけが写っていた。 手に握ったハンマーをそれに向かって振り下ろす。 ガラスの割れる音と共に破片が飛び散る。 外だ。 白い白い世界。太陽が眩しく前を直視することができない。 聞きなれたひどく懐かしい声が聞こえると思い、目を開けると居なくなった友人達が手を振り笑顔で 「こっちにおいで~!」 っと僕を呼んだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加