#011 「年下の兄」で書きたかったこと

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#011 「年下の兄」で書きたかったこと

 じつは「年下の兄」には前日譚的な物語が存在します。それは、私にとっての事実上の処女作です。三年くらい前に書いて某新人賞に応募して見事に撃沈してから、見るのも嫌で封印しています。一度の失敗をずっと引きずるのは、私のだめな思考のクセです。  で、その話の中で実くんは亡くなってしまいます。  私が小説を書く上で気をつけているのが、どんなに悲しい話でもラストに一条の希望を持たせること。でもその話でただひとり、尊くんだけには希望を持たせてあげることができませんでした。だから、彼のために続編を書いてあげたかったのです。  尊くんには幸せになってほしかった。それ以上に、きちんとお兄ちゃんとお別れをさせてあげたかった。だから、患児に実の魂が宿って成仏するという展開にしました。  物語の途中でファンタジー要素が入る展開は、好き嫌いが分かれると思います。私はがちがちのファンタジーは少し苦手なのですが、ちょこっとだけ入るファンタジーは好きです。特にこの手の話は大好物!  だから尊くんを一度子どもに戻して、お兄ちゃんと喧嘩させて、仲直りさせて、そして大人としてお別れさせることができて、本当によかったです。  恋愛要素に関しては、結婚させてあげたかったというのもありますが、将希くんとの関係性だけで話を進める自信がなかったのも確か。でも別れだけではつらすぎるから、これはこれでよかったのかな。 (2021.05.22)  ガストに行ったら、真也が好きそうなオムライスがありました。香織さんに「作ってよ」と言われて、後日頑張って作ってみるやつ。4a0fa862-19e2-410b-8477-e6eb4b4d2507
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