30人が本棚に入れています
本棚に追加
#011 「年下の兄」で書きたかったこと
じつは「年下の兄」には前日譚的な物語が存在します。それは、私にとっての事実上の処女作です。三年くらい前に書いて某新人賞に応募して見事に撃沈してから、見るのも嫌で封印しています。一度の失敗をずっと引きずるのは、私のだめな思考のクセです。
で、その話の中で実くんは亡くなってしまいます。
私が小説を書く上で気をつけているのが、どんなに悲しい話でもラストに一条の希望を持たせること。でもその話でただひとり、尊くんだけには希望を持たせてあげることができませんでした。だから、彼のために続編を書いてあげたかったのです。
尊くんには幸せになってほしかった。それ以上に、きちんとお兄ちゃんとお別れをさせてあげたかった。だから、患児に実の魂が宿って成仏するという展開にしました。
物語の途中でファンタジー要素が入る展開は、好き嫌いが分かれると思います。私はがちがちのファンタジーは少し苦手なのですが、ちょこっとだけ入るファンタジーは好きです。特にこの手の話は大好物!
だから尊くんを一度子どもに戻して、お兄ちゃんと喧嘩させて、仲直りさせて、そして大人としてお別れさせることができて、本当によかったです。
恋愛要素に関しては、結婚させてあげたかったというのもありますが、将希くんとの関係性だけで話を進める自信がなかったのも確か。でも別れだけではつらすぎるから、これはこれでよかったのかな。
(2021.05.22)
ガストに行ったら、真也が好きそうなオムライスがありました。香織さんに「作ってよ」と言われて、後日頑張って作ってみるやつ。
最初のコメントを投稿しよう!