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#001 ペンネーム
執筆を始めるにあたって気がかりだったのは、納得のいくペンネームがつけられるかどうかでした。
まずは作品の内容だろ、という突っ込みはさておき、私にとっては重要なことです。なぜなら私は書き出しさえ何とかなれば、最後まで何とか書き切ることができるという性質。だから気に入ったペンネームが決まれば私にも書けるはず、という根拠のない自信がありました。
洒落のきいた粋な名前は思いつきそうもないし、何よりその辺にいる人物みたいなペンネームをつけたいと思っていました。より愛着が持てて、自分の分身になってくれそうな気がしたからです。
でも、一向に思いつきません。本名をもじった名前をいくつか考えてみるもいまいちだったし、好きな俳優の名前を一部お借りしたところで何か違います。
そんな折、ドライブ好きな我が家族は、奈良県のとある国道を走っていました。
その時何気なく目にしたのが道路に設置されている案内標識。青い看板に白文字で目的地への距離や方角が書かれた、おなじみのやつです。そこには桜井市と明日香村への案内が書かれていました。「桜井 明日香 →」と。
これだな、とピンときました。どこかにいそうで(実際にいらっしゃると思います)、かつ知的な印象を与える名前。奈良には親戚がいるので全く縁もゆかりもないわけではないし、空が広くて大好きな土地です。そこから名前をいただこうと思いました。
ペンネームを決めた時期と「年下の兄」を書き始めた時期はどちらが先か今となっては忘却の彼方ですが、このペンネームに支えられて書き終えることができたと言っても過言ではありません。
ちなみに、ほかの候補は伊勢湾岸道「みえ川越IC」から「川越みえ」でした。
(2021.05.01)
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