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はぁ。
私は家に帰ると、とぼとぼと自分の部屋に向かいベットにダイブする。
……蓮夜の前ではあんなこと言ったけど、もうすぐで蓮夜に会えなくなる。
さみしい、いなくならないでほしい。
そう思うと、すぐに涙が溜まっていく。
本当は言うまでもなくそんな感情で満たされている。
でも、その気持ちは思っているだけじゃ意味がない。
行動に移してこの感情を晴らさないと。
ガチャッ
ドアが開く音がする。
「ねぇ、お姉ちゃん。ゲーム借りてもいい?」
そこには私の弟・結城がひょっこりと顔を出していた。
「いいよ。多分、リビングにあると思うから」
「うん、ありがとう」
バタンッ
ドアが閉まった。
そういえば、蓮夜はゲームがやりたいとか言ってたよなぁ。
あと、きれいな景色を見たいって……。
入院するなら遠出はできないし、どうすればきれいな景色を蓮夜に見せられるかなぁ。
私は自分の部屋を出る。
そのまま、リビングへ向かうと結城がゲームに熱中していた。
私は結城の横に置いてあるものを見て思わず瞬きをした。
確かあれは、結城が誕生日プレゼントでもらっていたものだ。
あっ。
もしかしたらこれを使えば、きれいな景色を見せられるかもしれない。
蓮夜の願いがかなうかもしれない――。
私は急ぎ足になって自分の部屋へ向かったのだった。
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