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異変
さらに一週間後。
私と蓮夜が一緒にゲームをして遊んでいた時だった。
ゴトンッ
蓮夜がゲーム機を落とす。
「うぅ……!」
急に蓮夜が苦しみ出したのだ。
「大丈夫、蓮夜!」
「は、早くナースコールを……」
蓮夜は胸を押さえながら小さくか弱い声で言う。
私はそれを聞いて私は素早くナースコールのボタンを押した。
あぁ……なかなか来ない、看護師も忙しいのはわかるけど早く出て!
私はじれったくなりながら応答を待つ。
「はい、どうしましたか?」
優しい声がナースコール越しに聞こえた。
「大変です、急に苦しみ出して……」
「わかりました、すぐに行きますね」
優しい口調で看護師が言うと、ぷつっと通話が切れた。
私は……そばにいてあげた方がいいよね。
「大丈夫?」
そう聞いても、蓮夜の痛みなんかわからないのに私はそんなことを聞く。
というよりも、それしかこの一瞬で思い浮かばなかった。
「あぁ、大丈夫だ」
そういいながらも、蓮夜は胸をより強く抑えた。
蓮夜は私の前だといつも気にかけてくれているのか、自分の本当の気持ちを隠している。
本当の気持ちを知れないから蓮夜に寄り添うことができない。
それが何よりもつらいことだった。
ガラッ
病室のドアが開く。
「大丈夫ですよ、今来ましたからね」
ニコニコと看護師が蓮夜に笑顔を向ける。
私はもう帰ったほうがいいのかな。
いるだけ迷惑だよね。
私はそう思いながらポケットからメモ帳を取りだす。
私はそこに蓮夜への伝言を書くと、きれいに折って点滴がつるされているそばに置く。
私は静かに病室を後にしたのだ。
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