第二幕 第二の事件

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 清貴は続けて、文字を作る。 『あなたの おかあさんが ごうとうにおそわれ けがをしました』  そう伝えると、ああ、という様子で百合子は両手で顔を覆う。 『なにか きづいたことはありますか?』  そう問うも、彼女は今も顔を手で覆ったままだ。  清貴が並べた文字に気付いていなかった。 「清貴君。いいかな」  冬樹に呼ばれて、清貴は百合子の肩を優しく撫でてから、「はい」と立ち上がる。 「やはり、あのバイオリンは、応接室に飾っていたものだったようだ。ちょっと来てくれ」  清貴と秋人は、冬樹とともに一階の応接室に移動する。      *  応接室には、大きなガラス戸の棚があり、そこに骨董品や人形が飾られていた。  よく見ると、何も入っていない段がある。 「――ここに、例のバイオリンが入っていたそうだ」  と、冬樹はガラス棚に目を向けながら言う。 「ちなみに、いつ頃持ち出されたか、分かりましたか?」 「今、聞き込みをしているが、応接室のガラス棚の中のことを気に留めていた者はいないようで、皆、よく分からないと答えているよ」 「バイオリンと注射器に指紋は?」
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