第二幕 第二の事件

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「大体、こんな履いてない靴、お前がちゃんと捨てないから悪いんだ!」 「ですが、勝手に捨てたりしたら、あなたはいつも……」 「黙れ、口答えするな!」  夫の横暴な言いように、正子は言葉を詰まらせる。  菊男は大声を出したことで少し冷静になったのか、ふん、と鼻で嗤った。 「で、あなた方は、この靴の持ち主である俺が犯人だと? 犯人なら、わざわざ自分の靴を履いて犯行に及ぶと思いますかね?」  その言い分はもっともであり、秋人は「そうだよなぁ」と洩らす。  清貴も、そうですね、と同意する。 「あなたが犯人と言っているわけではありません。ただ、事情をお訊きしたかったのです。昨夜から今朝にかけて、あなたはどこで何をしていましたか?」 「これが噂のアリバイ調査ってやつか。昨夜から今朝は普通にここで寝ていたよ。昨夜は夜十一時にこの部屋に来て、ベッドに入った。で、今朝の騒ぎで叩き起こされたよ」 「寝ている間、何か気付いたことはありましたか? 奥様にも伺いたいです」  清貴にそう問われ、菊男と正子は、何かあっただろうか? と顔を見合わせる。 「いや、特に」 「私も主人も眠りが深いのか、一度寝てしまえば、雷が鳴っても起きないことが多くて」
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