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清貴は話を聞きながら、部屋を見回した。
屋敷の二階端にある菊男一家のスペースは、三部屋確保されているようだ。
夫婦の寝室、子どもたちの寝室、それらに挟まれたかたちで居間がある。
ここにもバスルームが備えつけられているようだった。
華子の部屋までは距離があり、気付かないのも無理はないだろう。
「分かりました。ありがとうございます」
と、清貴が頭を下げた時、部屋をノックする音がした。
「家頭様、百合子お嬢様が、あなたを呼んでいるようです」
先ほど清貴が『なにか きづいたことはありますか?』と百合子の膝の上に残した、ひらがなボードのメッセージに気付いたのだろう。
清貴はもう一度菊男に会釈をして、百合子の許へと急いだ。
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