第二幕 第二の事件

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       5  百合子は、先ほどのソファーに座ったままの状態だった。  膝の上のひらがなボードをトントンと叩いている。 『たんていさん』という文字が並べられていた。  清貴は、百合子の腕をトントンと叩いてから、『はい』と答える。 『あのときのこと つたえます』 『よろしくおねがいします』  と清貴は返事をする。 『へんなかんじがして わたしはおきました』  変な感じとは、犯人と母親が争っていたことを言っているのだろう。  目と耳が不自由な分、百合子は振動を含めた感覚が敏感なようだ。 『なにか わかったことが ありましたか?』  清貴がそう問うと、百合子はすっくと立ち上がり、傍らに置いてあった杖を手に危なげなく、隣の自分の部屋へと向かう。  清貴、秋人、冬樹、他の警察官や使用人、長女の薔子に蘭子もその様子を見守っていた。
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