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百合子はソファーに腰を下ろして、ひらがなボードがほしい、という素振りで膝をトントンと叩いて見せた。
すぐに使用人が百合子の膝にひらがなボードを置く。
『とても すべすべした うつくしいはだでした』
「すべすべした、美しい肌?」
自然に皆の視線が、薔子と蘭子に注がれた。
二人とも三十代であるが、瑞々しく美しい肌をしている。
「ちょっ、そんなの当てにならないでしょう? 百合子姉さんなんて、なんにも分からない人なんだから」
蘭子が吐き捨てるように言うと、薔子が即座に窘めた。
「おやめなさい、蘭子」
「だって、薔子姉さんは、こんな不確かな情報で疑いをかけられるのは嫌じゃないの? 私はごめんだわ」
清貴はそんな二人に構うことなく、百合子の前のひらがなボードに質問を並べる。
『だれだと おもいましたか?』
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