第二幕 第二の事件

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「財産の問題だけではなく、百合子さんに対して蓄積された思いがあるのではないでしょうか?」 「――そんなこと、生まれた時からそうだから、今さら別に……」  そうでしょうか、と清貴は膝の上で指を組み合わせる。 「あなたは恋多き女性として知られています。そのように誰かを求めてしまうのは、お母様から受け取れなかった愛情を別の形で埋めようとしているのではないですか?」  蘭子は大きく目を見開き、 「馬鹿言わないで!」  と、勢いよく立ち上がった。 「なにそれ、私は本当は母親の愛情が欲しいのに、それがもらえないから、代わりに男を求めていたって?」 「違いましたか?」  冷静に問われ、蘭子は顔を歪ませる。 「何を言うのよ。私は恋愛というゲームが好きなだけよ。男が好きなだけ! 本当は母の愛情が欲しかったなんて、そんな――そんなこと――」  ええ、と清貴は頷く。 「あなた自身、そんなつもりはなかったでしょう。ですが、男性との恋愛ゲームでは満たされなかったのではないですか? そもそも、あなたの求めているものとは違うわけですから」  清貴は無表情のまま蘭子の目を見詰めて話す。  蘭子はまるで悪魔に見据えられたように、青褪めて立ち尽くしていた。
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