第三幕 亡き当主の研究室

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「犯人は、ここですべてを用意したわけか」  冬樹は、忌々しい、と舌打ちした。  だけどよ、と秋人が振り返る。 「そもそも、どうやってこの部屋に入ったんだよ? 鍵はたったひとつで、その鍵は暴君のばーさんがいつも持っていて離さなかったんだろう? 合鍵を作った形跡もなければ、窓からも入れないんだぜ!」  秋人の言葉に、皆は黙り込んだ。  清貴は今一度、部屋をぐるりと見まわし、ぱちりと目を見開いた。 「――ああ、僕としたことが、こんな大きな出入り口があるではないですか」  えっ、と皆は清貴の方を向く。  清貴は颯爽と、暖炉の前まで歩いていった。 「この暖炉です。暖炉といえば、必ず煙突がある。犯人は煙突から侵入したのでしょう」  冬樹と秋人は、おお、と顔を明るくさせて、拳を握り締めた。
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