第三幕 亡き当主の研究室

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        3  その後、家頭邸に戻った清貴は書斎の椅子に腰を下ろすと、眉根を寄せたまま、両手を重ね合わせていた。  秋人はゲスト用のソファーで紅茶を飲みながら、美味い、と目を細めている。 「花屋敷家では、怖くて水も飲めなかったよ。俺に毒が盛られるとは思ってないんだけど、ほら、間違って入っていたらと思ったらさぁ」  秋人の軽口にも、清貴はポーズを変えないままだ。 「おっ、格好までシャーロックになりきるのか、ホームズ」  そう、清貴がしているのは、かのシャーロック・ホームズがしている仕草だ。  けらけらと愉しげに笑う秋人に、清貴は肩をすくめた。 「こうしていたら、何か分かるのではないかと思いましてね。本物の名探偵にあやかれたらと……」  清貴は、ふぅ、と息をついて、椅子にもたれる。 「おいおい、そんな寂しいことを言うなよ。しっかし、さすがのホームズも今回の事件は手を焼いているようだな?」
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