第四幕 当主と青年の出会い

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 すると秋人が、おっ、と目を輝かせて身を乗り出した。 「お目当ては誰なんすか? 薔子さん? 蘭子さん?」  いやいや、と江田は気恥ずかしそうに頭に手を当てている。 「――百合子さん、ですよね」  清貴の言葉に、江田は動きを止めた。 「あなたが見ていたのは、屋敷ではなく、庭で日光浴をしている百合子さんの姿だったのでしょう?」  秋人は、あー、と大きく首を縦に振る。 「そういや百合子さんも外に出るんだよな。たしかに彼女もすごく綺麗な人だ」 「あ、まぁ、百合子さんも美しいですが、彼女にそうした想いは……」  江田はそこまで言って言葉を濁す。 「そうですね。彼女は、あなたの『お姉さん』ですからね」  微笑みながら言った清貴に、江田は、えっ、と訊き返した。 「え、ええと、何を突然……」  あはは、と江田は顔を引きつらせながら笑う。 「今回の事件の真相を突き止めるために必要だと判断したので、失礼ながらあなたのことを調べさせてもらったんです。江田先生――いえ、佐伯正樹さん。あなたのお父様は華子夫人の前夫、佐伯正孝だった。つまり、あなたは百合子さんの異母弟」  江田は、虚を突かれたように目を見開いた。  沈黙が訪れる中、江田がごくりと喉を鳴らす。
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