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まず、マグカップの土台を作る。
粘土を丸く平べったくしたものを、台の上に載せるのだ。
その上に型紙を置き、型紙に沿って錐の先端を挿し、ゆっくりろくろを回して綺麗な円形にする。
底ができたら、粘土を蛇のようなひも状にした『土ひも』を載せていく。
接着面を傷つけて、水で濡らし、さらに二段、三段と載せる。
ヘラでコップの内側を綺麗にして、外側も下から上に滑らかにしていく。
そして、口元を整えるのだけど――。
『あー、やっぱり上手くいかない』
思うようにいかず、私は粘土を前に、うな垂れる。
『十分、ええできやん。なんや、ハードル上げてるんとちゃう?』
すでに湯呑みを成形している香織は、私の方を見て言う。
香織の言葉は、的を射ていた。
初めて陶芸に挑戦する身でありながら、理想ばかり高くなって、肩に力が入り過ぎているのだろう。
『部長のお手本を見ると、簡単そうに感じるんだけどなぁ』
『そら、あの先輩は、家が窯元やし』
そんな話をしていると、教室内を見回していた男子学生が、笑顔で歩み寄ってきた。
『二人とも、どうかしたかな?』
彼――梶原春彦は、にこりと微笑んで訊ねた。
春彦さんは、私やホームズさんと馴染みの、梶原秋人さんの弟だ。
彼は陶芸サークルの一員だった。このサークルを立ち上げた部長と仲良くしているそうで、私たちに声をかけてくれたのだ。
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