第四幕 当主と青年の出会い

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「煙突のことだよ。煙突が塞がれてるってのは、薔子さんの話を聞いただけで、俺たちは実際に塞がれているかどうか確認していない。でも、本当は侵入できるんだよ」 「それで、薔子さんはあの華奢な体で屋根に上り、煙突から研究室に侵入したと? 今は警察が庭を捜索していたんです。そんなことをしたら目立つのでは?」 「兄貴にすり寄って、気付かれないように鍵を盗ったんじゃねぇ? そしてこっそり戻した。大体、ああいう善人っぽい、才色兼備こそ怪しいんだよ。そう思わねぇ?」  目をキラキラさせて問う秋人に、清貴は、ふっ、と頬を緩ませた。 「……薔子さんの証言が嘘だったかもしれない、というところまで良かったですが、他が弱いですね。あと、ひとつ。僕は警官たちにお願いをして、本当に煙突から入れないのか、ちゃんと調べてもらっているんです」 「あ、そうなんだ」  秋人は、がっかりしたように肩を落とす。
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