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研究室が放火された翌日の午後三時。
清貴は、『事件のことで分かったことがある』と花屋敷一族を一階の食堂に招集した。
皆が集まるとはいえ、百合子のミルクティーがいつものように午後二時五十分に用意されているのは変わらない。
使用人は、皆よりも早く百合子のミルクティーを用意し、いつもの場所――彼女の席に置いた。
使用人はそのまますぐに、台所へと戻る。
これから全員分のミルクティーと焼き菓子の用意をしなくてはならないからだ。
食堂に人影がなくなった時、ある人物がこっそりと顔を出した。その人物は躊躇いもせずに百合子のミルクティーに液体を入れて、何食わぬ顔で食堂を出て行く。
それは、清貴がもっとも恐れていたことだった――。
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