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花屋敷家の人間が食堂に集まったのは、それから五分後のことだった。
薔子、蘭子、菊男、正子、菊正、百合子、江田正樹が食堂を訪れると、全員分のミルクティーと焼き菓子がテーブルに用意されていた。だが、幼い菊次郎は昼寝中ということで、ここにはいない。
皆は迷いもせずに、椅子に腰を下ろす。
各々の座る席は、いつも決まっているのだ。
清貴は椅子に座らず、長方形テーブルの短辺の位置に立ち、皆を眺めている。
壁際には、冬樹と秋人、そして使用人たちが見守るように立っていた。
菊男は躊躇いがちに、清貴を見上げる。
「事件で分かったこととは?」
「もしかして、犯人が?」
と、蘭子が興奮気味に、清貴を見た。
薔子は何も言わずに、顔を強張らせている。
正子と江田も緊張の面持ちだ。
百合子は、ひらがなボードにより、ここで大事な話があることは聞かされているが、今の時点では自分が情報を得られないのを悟っていて、ゆったりとミルクティーを飲んでいた。
また、菊正も自分には無縁のことと、話よりも焼き菓子に夢中で、クッキーを頬張り、ミルクティーを飲んでいる。
「――はい、犯人が分かりました」
清貴は皆を眺めたまま、強い口調で言う。
一同は言葉を詰まらせて、揃って息を呑んだ。
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