第五幕 そしてすべてが明らかに

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       2 「――さて、ここから、義春さんの真相に迫っていきたいと思います」  そう言った清貴に、皆はゆっくりと顔を上げた。 「お父様の?」 「ええ、義春さんはなぜ、このような小説を書いたか。彼は、江田先生に編集者を紹介してもらい、出版の計画も進行していました」  そう、これまで犯人が誰だったのかに気を取られて、皆は失念していたのだ。  そもそも義春はなぜ、このような小説を書こうと思ったのか。また、なぜ、その小説を刊行することなく、命を絶ったのか――。 「皆さんは、江田先生の出自はご存じでしたでしょうか?」  そう問うた清貴に、江田がおずおずと口を開く。 「昨夜……僕は皆さんにお伝えしました。自分が華子さんの前夫の息子だと――」  皆もぎこちなく頷いている。  それは話が早くて良かったです、と清貴は安堵したように言う。 「小説を書いた目的ですが、おそらくは義春さんの復讐だったのではないかと」  復讐? と皆は顔をしかめた。 「ええ、そうです。ここからは、僕の想像を交えてお話しさせていただきますね。  ――義春さんは晩年になり、ある復讐方法を思いつきました。それは『花屋敷家をモデルにした、暴露本のようなミステリー小説を世に発表する』ということです。その方法を思いついたのが、江田先生との出会いの前か後かは分かりませんが、彼に大きな刺激を受けたのは、たしかだと思います」  と、清貴は江田を見て言う。  江田は申し訳なさそうに身を縮ませる。  皆は何も言わずに、清貴の次の言葉を待っていた。
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