終 幕

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「冬樹さん?」  清貴が視線を合わせるなり、冬樹は深々と頭を下げた。 「あの時は、すまなかった」 「……あの時とは?」 「分かっているんだろう? 菊正に解毒剤を渡さなかった時だよ」 「ああ、冬樹さんがお灸をすえた時ですね」 「お灸じゃない!」  そう言って、冬樹は頭を抱える。  その様子から、冬樹は本当に、菊正が毒を飲んだと思っていて、自分が持っているのが解毒剤だと信じていたことを感じさせた。冬樹は本気で、あの時、菊正が死んでもいい、いや、むしろ死んだ方がいいと思ったのだと――。 「自分は、警察官失格だ」  俯いたまま低い声で、冬樹はつぶやく。  彼から強い後悔と反省が伝わってくる。 「……兄貴」  秋人は沈痛の面持ちで、冬樹を見る。
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