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「書いた今は、どうですか?」
「書けて良かった、と心から思っている。読んでいるだけの時より、名作ミステリーの凄さを感じられたし、何より勉強になったわ」
「そうなんですね」
それは踏み出す前には、決して見えないし、分からないものなのだろう。
「他に気になったところはない?」
「あ、些細なことなんですが、作中のホームズさんと秋人さんは、どうやって知り合ったのかなぁ、って」
「ああ、それは、もし今後続編を刊行できるようなら、触れていきたいと思っているんだけど」
「何か大きなドラマが?」
「ううん、そんな大層なことは考えてなかった。秋人君の親と家頭誠司さんが知り合いだったのがキッカケで、という程度なんけど」
「でも、自然ですね」
そんな話をしながら、ふと横を見ると、ホームズさんは先ほどと打って変わって原稿を眺めながら、どこか面白くなさそうにしていた。
相笠先生は少し不安げに、首を伸ばして原稿を覗き込んだ。
「何か気に入らないところがあったかしら?」
「はい」
即答したホームズさんに、私は仰天した。
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