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今、この店の壁には、新たな一枚の絵が飾られている。
古の豫園を描いた作品だった。
月明りの下に浮かび上がる江南庭園と豫園商城が美しく、幻想的だ。
絵の左下には、宴会をしている兵士たちの姿。右上の方に描かれているテラスには月を眺めている宮廷女官のシルエットがあり、絵の端には、漢詩が書かれている。
葡萄美酒夜光杯
欲飲琵琶馬上催
酔臥沙場君莫笑
古来征戦幾人回
葡萄の美酒、夜光の杯。
飲まんと欲すれば、琵琶馬上に催す。
酔うて沙場に臥すとも、君、笑うこと莫かれ。
古来征戦幾人か回る。
『涼州詞』と呼ばれる王翰の詩。
――葡萄の美酒を、月明りの盃に注ぐ。
飲もうとすると、琵琶の音が馬の上で鳴り響いた。
酔い潰れて砂漠に倒れてしまう姿を見ても、君は笑ってはいけない。
古来より戦地に赴いた兵士のうち、どれだけの人が帰ってきたと思う――?
この絵は、私を助けるために、円生が描いてくれた一枚なのだ。
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