おまけの掌編

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それは、ある日の午後。 「――へぇ、真城さんのバイト先ってこんな店なんだ」 私が、骨董品店『蔵』で店番をしている際、たまたま同じ大学に通う男子学生が、店に入ってきた。 彼は同じゼミの仲間であり、また関東から来ているため、話すことが多い。 私が寺町三条の骨董品でバイトをしていると伝えたら、『今度、遊びに行くよ』などと言っていたけれど、まさか本当にやって来るとは思わず、少し驚いた。 彼は、興味深そうに店内を見回している。 「いつからバイトしているの?」 「高校の時から」 どうぞ、と私はカウンターの上に彼のコーヒーを置く。彼は「サンキュー」と言って椅子に腰を下ろした。
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