おまけの掌編

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話を聞くと、休日の今日、彼は一人で京の町を観光していたそうだ。 錦市場を観てきた帰りにここに寄ったと話す。 彼も私と同じ関東出身。 まだまだ京都が珍しく、そして楽しいそうだ。 「休みのたびに、あちこちふらふらしてるよ。真城さんが京都に来たのは、高校の時だったっけ?」 そう問われて、うん、と私は頷く。 「高校一年の二学期から」 「それじゃあ、もう京都に詳しい?」 「詳しいってほどでは……京都は奥深いから」 「だよなぁ。未だに京都弁には戸惑うし、大学でもさ、こっちの人って『一回生、二回生』って言ってるから最初戸惑ったよ。関東では普通に一年生、二年生って言うじゃん?」 そうだよね、と私は笑う。 それはすでに私にとって『当たり前』になっていたことだが、そういえば自分も最初戸惑ったのを思い出して、小さく笑った。
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