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彼は気を取り直したように、少し前のめりになった。
「それはそうとさ。真城さん、今度、京都の町を案内してくれないかな」
え……、と私は思わず動きを止めた。
おそらく彼は、純粋に私に案内してもらいたいだけだろう。
けど、同じゼミの男の子と二人で出かけるとなると、ホームズさんは嫌な気持ちになるだろう。
「あ、ええと、ゼミのみんなと一緒なら」
「二人きりじゃ抵抗ある感じ?」
ここで、『彼氏がいるので』というのは、自意識過剰に思われてしまうだろうか?
いや、でも、言っておいた方が話が早い。
「彼氏がいるから……」
そう言うと彼は目をぱちりと開いたあと、小さく笑う。
「いや、大丈夫だよ、そういうつもりで誘ってないから」
「だよね、そうかと思ったんだけど」
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