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「おや、そうでしたか? 笑顔で応対したんですが」
「悪魔の微笑みでしたよ」
「それは失礼しました」
しれっと答えるホームズさんに、私は小さく笑う。
するとホームズさんは、横目で私を見た。
「それにしても、僕が側にいなかったら、OKしていたんじゃないですか? 葵さんのことだから『彼はきっと下心もないだろうし、京都案内くらいいいかも?』なんて思ったでしょう?」
胸の前で手を組んで、私の口調を少し真似しながら言う彼に、小さく噴き出した。
「……下心はないと思いましたが、ホームズさんが側にいなくても、断りましたよ」
はっきりと言うと、ホームズさんは目を丸くして私を見下ろした。
「どうして、そんな驚いた顔をしているんですか?」
「少し意外でした……。
葵さんは警戒心なく人と付き合うところがあるので」
たしかにあるかもしれない。
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