おまけの掌編

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「複数ならOKですけど、二人きりなら行きませんよ。だって」 「だって?」 「……プライベートな状況で、ホームズさんが女性と二人きりで出かけたら、私は嫌だなって思いますもん」 こうした嫉妬心を知られるのは、恥ずかしい。 目を合わせられずにいると、隣から『ゴンッ』と大きな音がした。 驚いて顔を向けると、ホームズさんがカウンターに突っ伏している。 「ホームズさん!?」 「あかん、葵可愛い。ほんま、あかん。ここは店でまだ営業時間中や」 ホームズさんは突っ伏したまま、拳を強く握っている。 私がそっとカウンターに手を置くと、彼はその手をギュッと握ってきた。 「……店が終わったら、デート、できますか? デートていうか、はよ二人きりになりたい。 一晩中いちゃいちゃしたい」 静かに問うた彼に、私は顔が熱くなるのを感じながら、そっと頷いて、その手を握り返した。 「――葵」 この日の夜、手を握り返して応じたことを少し後悔してしまうくらい、本当に一晩中うんと彼に愛されてしまうのだけど、 それは二人だけの秘密。 〜Fin〜
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